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日本システムアナリスト協会会員と有志による

システムアナリスト
平成15年度秋期 情報処理技術者試験解答例

午 前 解答例
午後1 解答例 コメント
午後2 解答例 解答のポイント



午前 解答例

問1 問11 問21 問31 問41
問2 問12 問22 問32 問42
問3 問13 問23 問33 問43
問4 問14 問24 問34 問44
問5 問15 問25 問35 問45
問6 問16 問26 問36 問46
問7 問17 問27 問37 問47
問8 問18 問28 問38 問48
問9 問19 問29 問39 問49
問10 問20 問30 問40 問50

午前はシステムアナリスト、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャ共通問題です


午後1 解答例

問1(櫻:櫻井 橋:橋口 T:TAC)
設問1 (1) 販売計画を基に製品モデル基本型とオプションの生産計画をそれぞれ車台一台ごとに作成する。(43字)
(2) 製品モデル基本型ごと及びオプションごと,さらに完成した車台1台ごとにそれぞれの達成状況を確認する。(49字)
(1) 入力された製品機種ごとの仕入数から,製品モデル基本型数とオプション数をそれぞれ算出する。(44字)
(2) 中間倉庫までは基本車台ごとの生産指示番号により,最終組立は試運転により,2段階で達成状況を把握する。(50字)
(1) 入力された製品機種ごとの仕入予定を,製品モデル基本型とオプションの組合せに変換する機能(43字)
(2) 生産指示の出された車台1台ごとに進捗状況を管理し,製品モデル基本型の生産計画台数と実績台数を比較する(50字)
設問2 (1) 生産計画を基に予測した部品ごとの需要に従って投入する。(27字)
(2) 最終組立工程の生産計画を,海外販社から収集した最新の販売動向を反映した上で適宜変更する。(44字)
(1) リードタイムと生産計画の進捗を考慮して逐次製作,投入する。(29字)
(2) 中間倉庫から出庫し最終組立工程に入る時点で,海外販社の販売動向に合わせて生産数を最調整する。(50字)
(1) 安全在庫を持たず,工程単位に必要な部品を製作して投入する(28字)
(2) 最終組立工程では最新の販売動向を反映した製品機種ごとの需要予測数に基づいて組立作業を行う(44字)
設問3 @ 生産計画に基づく部品ごとの調達計画
A 工場での生産の進捗状況
@ 購入部品の在庫数
A 最新の部品調達計画
@ 部品の実在庫数量
A 向こう2か月の生産計画
問2 (釘:釘本 櫻:櫻井 山:山口 橋:橋口 T:TAC)
設問1 @ これまで取引実績のなかった買手からの引合いを受けることができるようになる。(37字)
A 過剰在庫になった特定鉄鋼製品の転売先を比較的容易に探すことができるようになる。(39字)
@ 取引先情報の拡大により取引実績が無い買手からの引合いに対する販売機会を得る。(38字)
A 販売ルートの拡大により過剰在庫になっていた製品を転売する機会が増加する。(36字)
@ 販売ルートが固定化され中小事業者では取引の難しい大口事業者との取引機会。(36字)
A 他社の在庫切れや,自社の過剰在庫に対する注文の振り回しによる販売機会。(35字)
@ これまでの固定化された販売ルートではつかめなかった顧客への販売機会。(34字)
A 自社の在庫にかかわらず,他の特約店・問屋からの調達による販売機会。(33字)
@ 固定化された販売ルート以外の新たな取引先から,新規の引合いを得る機会(34字)
A 過剰在庫となった鉄鋼製品について,スクラップ処理せずに転売できる機会(34字)
設問2 @ 買手の現在の信用状況に関する調査結果を確認できる機能。(27字)
A 提携処理を自動化できるなどにより事務処理の手間を軽減する機能。(40字)
@ 引合い対応事務の削減に寄与する鉄鋼製品検索機能。(24字)
A 買手に対する信用リスク調査負荷を軽減する買手状況照会機能。(29字)
@ 過剰在庫となった製品に対する転売先を検索する機能。(25字)
A 共同配送可能な製品・需要家を検索する機能。(22字)
@ 買手の信用状況調査を軽減する商談参加条件や取引状況照会。(28字)
A 引合・注文・配送・決済に至る事務処理を軽減化,簡易化する機能(30字)
@ 引合い・注文・転送・決済に至る事務処理を代行する機能(27字)
A 買手に関する信用状況などの情報を提供する機能(22字)
設問3 売手・買手の双方に対して一時的に必要になる保管場所や輸送手段などを提供する物流機能。(42字)
全国主要地域に保有している鉄鋼製品用トラックと鉄鋼製品用倉庫を活用した効率的な物流機能。(44字)
既存の鉄鋼メーカ・大口需要化を販売チャネルとする情報提供と,製品の保管・輸送業務。(41字)
自社保有のトラック,全国展開の鉄鋼製品用倉庫を活用した,商社と倉庫・物流の複合機能。(42字)
X社の保有する倉庫やトラックを活用し,鉄鋼製品専用の保管方法や輸送手段を提供する物流機能(44字)
問3 (釘:釘本 櫻:櫻井 山:山口 橋:橋口 T:TAC)
設問1 (1) 各店舗における週末の単品ごとの売上数を集計し,その結果から高精度の販売予測を行う。(40字)
(2) 単品ごとの粗利益率の違いを意識し,利益を極大化するような組合せの発注をする。(38字)
(1) 販売予測の精度を高めるため,店舗マネージャに週末の単品ごとの売上数を提供する。(39字)
(2) 発注した商品の仕入条件,販売店舗等を単品ごとに管理しトレースできるようにする。(39字)
(1) 日曜日を含む前週末までの売上集計を実施し,精度の高い販売予測を行う。(34字)
(2) 特売・通常商品を明確にし,各々の売上・利益計画の達成度を確認する。(33字)
(1) 店舗ごと,単品ごとの最新の売上,在庫情報を週次で把握し,高精度の販売予測を行う。(40字)
(2) 特売・通常の仕入条件による粗利益率の適切性および売上,利益計画の達成度の状況。(39字)
(1) 週末の単品ごとの売上数を把握し,2週間先までの単品ごとの販売数を予測する(36字)
(2) 通常販売時と特売時の仕入条件について,適切な粗利益率であることを確認する(36字)
設問2 自主販売商品の拡大に伴う商品管理機能の店舗マネージャから商品部への移行をスムーズに実施するため。(48字)
商品管理機能が商品部と店舗で分散されるため,売上・利益の達成度の評価等に対する責任を明確にする。(48字)
売上,利益計画を商品群ごとに策定する商品部と計画実施の要となる商品部バイヤの業務機能強化を図るため。(50字)
商品部バイヤが策定する自主販売商品の売上・利益計画の精度を高め,商品部の業務管理機能を強化するため(49字)
設問3 @ 店舗ごとに異なっていた同一取引先に対する仕入商品や仕入条件を統一し,スケールメリットを発揮するため。(50字)
A きめ細かい商品管理を販売予測に活用することにより,欠品による販売機会ロスや過剰在庫を抑制するため。(49字)
@ 全店の発注を一括して行う事により,一回の商談時に扱う数量を拡大しスケールメリットを活かした商談が可能。(50字)
A 店舗単位による販売予測のばらつき精度を無くし,かつ全店を見通して商品の動向を判断する事が可能。(47字)
@ 同じ取引先でも店舗ごとに異なって設定されていた仕入条件を一括・統一してスケールメリットを引き出す。(49字)
A 週単位での商品管理を迅速に販売予測や仕入計画に反映しながら,全店の売上,利益計画を修正・調整する。(49字)
@ 同一取引先に対する仕入商品や仕入条件の交渉において,全社としてのスケールメリットを発揮できるため(48字)
A 週次単位のきめ細かい商品管理を実現し,欠品による販売機会ロスや過剰在庫の発生を防止するため(45字)
問4 (櫻:櫻井 山:山口 橋:橋口 T:TAC)
設問1 @ 菓子のレシピや季節のお勧め菓子など,顧客に対するタイムリーな情報伝達サービス。(39字)
A 「お客様の声」を取り込むことによる,顧客の視点を生かした店舗の運営。(34字)
@ HPから商品の予約を可能にし,確実に商品を入手する事を可能にする。(33字)
A 会員に特化した割引クーポン券の発行や,ポイント制度の導入。(29字)
@ 登録された会員情報,誕生日・家族構成・地域性に応じたイベント・サービスの提供。(39字)
A 限定商品や,予約・配送サービスなどファンクラブの登録顧客に特化したサービス。(38字)
@ ファンクラブ用ページに,新商品の販売や特売に合わせた割引クーポン券を掲載する(38字)
A HPに商品注文のためのページを用意し,登録された顧客だけを対象に通信販売を行う(39字)
設問2 (1) POSシステムより得る賞味期限を考慮した在庫を基に販売実績や需要予測を加味して単品ごとに決める。(48字)
(2) 当週以降の発注予定数について,非直営店による確認・見直しに基づいて更新されているかをチェックする。(49字)
(1) POS販売実績と在庫情報より翌日の発注情報を自動作成し,必要に応じて店長が修正可能な方式とする。(48字)
(2) 前回の発注予定や直近の販売実績と比較して,著しく本発注の数量が異なっていないかチェックする。(46字)
(1) 月次販売計画どおりの販売でなく,POSからの情報などをもとに直営店の実績や店長の判断を反映する。(48字)
(2) 翌週の本発注数入力画面で非直営店の月次発注予定と比較し,発注予定数と本発注数の差異を算出,表示する。(50字)
(1) 週次販売計画と賞味期限を考慮した単品ごとの在庫数に基づき,特殊要因を考慮して発注数を決定する(46字)
(2) 本発注数と当週以降の発注予定数を比較し,一定比率以上の差異がある場合には発注予定数の変更を促す(47字)
設問3 生産計画と連動して週単位での発注予定を提供し,日々更新される発注数を反映した結果で本発注を行う。(48字)
調達リードタイムを考慮した適生在庫を定め,消費した量だけを納品して貰うカンバン方式を導入する。(47字)
賞味期限別の週次生産計画,品質劣化期限別の包装資材の在庫,リードタイムから適性発注数を算出する。(48字)
週次の生産計画,調達リードタイムの需要数,納入残,在庫数に基づいて発注数を決定し,週次に発注する(48字)
(注1)解答文字数は,TACのみ句点を含みません。
(注2)(1),(2)は設問中の小問番号です。@,Aは複数解答の通し番号で,順不同です。


午後1のコメント、感想

橋口
全体  問題文は,全体的にかなり短くなりましたね。そのせいか,設問は,題意をつかみにくいものが多いようです。
 事例としてのリアリティを意識していては,時間が足りなくなりますね。与件として問題文をとらえる認識が,今まで以上に必要だと思います。
問1  問題文が短いので,直接読んでしまうと思います。が,新旧の計画の流れを図表にまとめることが,漠然とした設問への近道です。
問2  『このeコマースを利用することによって』との設問ですが,問題文はニーズ分析と米国の例だけですね。これだけで,問題作成者のシステム構想を受験者が共有できるものかどうか。
問4  設問1は,嗜好調査でも販売促進でもなく,純粋に会員増加策ととる方が妥当でしょう。
 a.会員全員に同じサービス
 b.特定の会員に同じサービス
 c.会員全員に,それぞれ違ったサービス
の3つが考えられます。



午後2 解答例
問1 新規ビジネス立上げに必要な情報システム投資計画の策定ついて(山口)
1.新規ビジネスと情報システム投資計画の概要

1.1.A社における新規ビジネスの概要
 A社は○○○○○○○を製造するメーカであり、国内 外に3箇所の工場を有している。○○○○○○○の業界 は長引く不況の中、A社の経営状況も悪化する一方であ った。一方、□□□・△△△△等に使用される○○○○ ○○○は、×××化の時代を迎えており、製品のライフ サイクルが短いという特徴を持っている。このような状 況を踏まえ、A社では次の経営戦略を策定した。
 「同業他社に先駆けて新製品を出荷する事により、確 実にシェアと収益を確保する。」
 この経営戦略のもとA社では全社員が一丸となって新 製品の開発に取り組んだ結果、サンプル品の製造を完了 し、顧客での評価を待っている状況にあった。

1.2.情報システム投資計画に概要
 新製品の量産化が開始されるまでには品質管理をはじ めとするビジネスをサポートする情報システムが必要に なる。しかしここで問題になるのは、新製品の立ち上が りスピードである。それは、実際に○○○○○○○を使 用する顧客が×××に対応する設備増強を行わなければ、 量産化したところで過剰供給となるからである。
 従って、情報戦略としては以下が決定された。
 「当面は既存の生産管理システムを使用し、必要な時 期に新製品に対応した大規模なシステム投資を実施 する。」 

1.3.私の立場
 システムインテグレータであるN社は長年A社の情報 システムのアウトソーサとしてA社情報システムを支え てきた。今回私は、A社新製品に対応した生産管理シス テムの基本計画について、システムアナリストとして参 画する事になった。
(以上 答案ア:775字ライン)

2.情報システム投資計画
2.1.投資計画の策定手順
 新製品に対応した情報システムを開発するためには、 新製品の市場性・収益性などを踏まえて、必要な時期を 検討しなければならない。そこで私はA社に検討委員会 の組織を提案した。尚、検討に際してはA社の経営戦略 を理解し全体最適となる議論が可能となるように、ベテ ラン社員の参加を要請した。
 a.経営戦略の理解
   経営戦略については(設問ア)で述べた通りであ るが、まずは委員会の全員が経営戦略を深く理解す る事とした。
 b.新製品開発状況の確認
   ここが最も重要なプロセスであり、新製品市場の 立ち上がりスピード・収益性などを営業部門より報 告して頂いた。また、製造部門からは新製品の製造 に求められれる品質保証の方法や、マテリアルフロ ーについて報告して頂いた。
 c.既存情報システム流用性の検討
   上記の結果を踏まえ、既存情報システムの流用性 を検討する事になるが、A社に常駐するシステムエ ンジニアはA社生産管理システムの細部まで熟知し ている。しかし、委員会全員の共通認識とするため に、既存の業務フロー・機能階層図等より、流用可 能な部分の絞込みと説明を行った。

2.2.投資計画の決定
 上記の結果、生産管理システムが新製品を100%サ ポートするためには根本的な改造が必要である事がわか った。一方で、60%のサポートを目指す場合には、既 存情報システムの一部手直しで対応が可能である事も明 らかとなった。具体的には以下の通りである。
a.一部の手直しで60%のサポートを目指す場合
 開発工期:3ヶ月
 開発費用:900万
b.根本的な改造を行い100%のサポートを目指す場合
 開発工期:12ヶ月
 開発費用:1.2億
 勿論、a.とb.を比較した場合、a.案では既存情報シス テムを流用できる部分が多く、品質的にも安定稼動を見 込む事が可能であった。
 この比較検討結果を踏まえ、a.案を推薦したところ、 委員会でも立ち上がりのスピードを最も重要視する事か ら、a.案の採用が決定された。

3.新システム開発時期の監視
 私は上記の情報システム投資計画だけではトップマネ ジメントは満足しないと考え、次の工夫を行った。それ は、根本的な投資タイミングを予測するための活動であ り、次のような情報を監視すべく、委員会の活動を継続 する事とした。
 a.営業部門からは、新製品の出荷量の推移や、顧客の 設備投資の情報。
 b.製造部門からは、システムがサポートできていない 業務負荷の推移。
 これは、新製品が量産化に入る時期を見極め、その前 に情報システムの根本的な改造を終了する事を目的とし たものである。

4.情報システム投資計画の評価
 以上の施策により一部手直しによりA社は新製品の出 荷を開始する事となった。一方、根本的な情報システム への投資は、当初1年以内と見込まれていたが、実際に は2年後に実施される事となった。また、その時期には A社の経営環境も変わり、既存情報システムの見直しで は無く、パッケージソフトウェアを導入する事となった。
 以上に柔軟に対応する出来た事は、私の策定した情報 システム投資計画が奏効していると判断する。
(以上 答案イ、ウ:1625字ライン)
問3 ビジネスの変革のためのITの活用について (橋口)
専門工事業のビジネス変革のためのITの活用

1−1.現行ビジネスの状況
 わたしは、中堅建設業S社の企画部次長である。S社 の前身は専門工事業だが、現在の事業の中心はマンショ ンのリフォーム工事である。全国13部店で年間90億 円を売り上げている。建設業では新設市場が縮小したま まで、リフォーム市場での競争は厳しく熾烈である。顧 客からの受注価格の値下げ圧力は大きい。
 S社では、ISO取得など品質・環境対策をアピール することで受注拡大を図り、優良外注業者を優遇、確保 して工事遂行力と利益の維持を図ってきた。が、それも 限界に来ている。S社では、3年後の店頭公開を計画し ており、売上・利益の右肩上がりは至上命題である。
 企画部では、役員会の意向を受けて中長期計画の策定 中である。

1−2.ビジネスの課題
 企画部では、将来の環境も踏まえて、次のようなもの を中長期の課題として抽出した。
 ・受注時のリスク対策
 ・優良外注業者の識別と囲い込み
 ・施工管理能力の強化

1−3.システムの全体構想
 わたしは、中長期計画のIT部分担当として、将来の システムの全体構想を次のように考えた。
 a)業務プロセスにおいては、営業段階から工事完工 までの必要時に外注業者と情報を共有できる。
 b)アプリケーションでは、営業・工事支援機能に加 えて、優良外注業者の識別機能、本社−現場管理 担当者−外注の3者の密接な情報交換機能。
 c)情報システム基盤としては、現在再構築中の基幹 システムとスムーズな連結が可能であること、及 びIT格差のある外注業者に負担が少ないこと。
(以上 答案ア:800字ライン)

2−1.ビジネス変革の方向
 これまで建設業では、技術・工法の高度化・専門化に 対応するために、外注化が進行してきた。専門工事業も 例外ではなく、業務の中心は施工管理へと移行している。
 一方で、顧客の発注形式も、分離発注、異業種JV、 コストオン方式、CM方式など多様化している。これは、 特に公共工事において、総合工事業者いわゆるゼネコン 以外でも元請になれるチャンスを意味する。
 建設業において、売上を拡大し、利益を確保するため には、元請になることが重要であるが、リスクも大きい。 現在、当社の受注のうち元請としての分は、件数で3割 強、受注額で4割だが、利益では6割である。
 S社の目指すべきは、各種のリスクを低減しながら元 請としての受注を拡大することと企画部では判断したの である。

2−2.受注時のリスク対策
 顧客の値下げ圧力、競合会社との価格競争に対応する ためには、応札価格に外注業者の見積を反映することが 効果的である。すなわち低価格受注時のリスクを外注業 者と分担するのである。そのためには、商談のはやい時 期、すなわち引合段階から外注業者と情報共有すること が重要である。
 従来は、当社の営業担当は営業活動で、また外注業者 は工事施工で、それぞれ多忙でありリアルタイムかつ密 接な情報共有は困難であった。ITの活用により、互い の日程・時間を合わせずとも、迅速・大量の情報共有・ 交換が可能になる。

2−3.優良外注業者の識別
 従来は、工事担当者及び上長の判断によって外注業者 が決定されて来た。優良外注業者は、多くの場合、工事 担当者にとってのよい業者であった。またその評価も着 工前、施工中の実績でなく、完工・結果の印象に頼ると ころが大であった。
 ITを活用すれば、基幹システムと部門システム、業 者の見積書、日報・工程実績などを連結・分析すること が容易になり、より客観的な評価を得ることが可能にな る。

2−4.施工管理能力の強化
 受注が拡大することは、工事件数、工事高が増加する ことであり、施工管理の対象が質・量共に増加すること を意味する。といって、単純に担当者を増員することで は利益を確保できない。施工管理の効率化が必須である。
 専門工事業として下請受注が主であった過去は、1現 場に一人の社員を張り付けるのが通常であった。最近は、 工事管理の担当社員を階層化し、地域別に割り当てて効 率化を図っている。が、その手段は、電話による日時調 整、車での移動、面談・打ち合わせである。
 ITを活用すれば、これらのルーチンの最適化が図れ る。さらに、情報共有が進むことにより、ルーチンの最 小化も可能となり、担当者の負担増を減殺することがで きる。

2−5.重要と考え工夫した点
 1つは、現行の基幹システム、部門システムとの連結 ・整合である。基幹→部門→業務アプリと、対象業務が 現場に近づくにつれ、情報の量・多様性とも多くなる。 しかし、システム構築は基幹システムから開始されるの が一般的で、当社も例外ではない。そこで、再構築中の 基幹システムのDB設計に、今回のシステムの要件を反 映させた。
 2つめは、ユーザとなる外注業者のIT化、リテラシ 度である。当社の外注業者は、常傭労務者200名の株 式会社から本人だけの自営と規模もまちまちであり、会 計パッケージを導入しているところ、携帯電話も持って ない、リテラシ度が全く期待出来ないところもある。ア ーキテクチャの要件に加えるとと共に、導入・教育、運 用・維持のコスト分析には、当分は当社が負担するケー スを想定した。

3−1.IT活用策の評価
 今回のシステム構想は、部門システムの対象業務、対 象ユーザの拡張として捉えることができる。実際に、イ ントラネットで運用中の部門システムの機能追加として、 アプリケーションの概要設計は楽であった。
 しかし、業務プロセス変革としての外注業者との情報 共有は抵抗も大きい。セキュリティ・リスク対策として、 目に見える形での、NW及びDBの切り分けが求められ る。ISPによるVPNサービスが進展してなければ、 コスト的に窮したものと思う。

3−2.将来に残した課題
 建設業と情報産業とは、業態がよく似ているといわれ ている。プロジェクトマネジメントは、情報産業に取り 入れられてから発展し、独自の進化もみられる。共通す るプロセスも多い。
 情報産業でみられる種々のアプリケーション、設計支 援、開発支援、CASEなどは、当社のビジネス変革を 検討する上で参考になると思われる。今回のシステムの 具体化の際、また次回の構想の際に活用したいと考えて いる。
(以上 答案イ、ウ:2175字ライン)
コメント

 3問通じてのキーは,「新規ビジネス」,「ビジネスモデル」,「立案・構想力」ですね。IT・システムの詳細記述の必要性は下がります。
 問題・設問は変わってますが,3問とも「経営課題,経営戦略,情報戦略」のスタイルで書けます。その意味で,3問の間に決定的な違いはないです。強いてあげれば,問1には数字の裏づけがあったがいいということでしょうか。



午後2 解答のポイント

試験問題が指定するアウトラインとその中に含めるべきキーポイント (藤井)
これは,あくまで試験問題の要求事項です。具体的にどのように展開するかは,各受験者に任されています。
問1 新規ビジネス立上げに必要な情報システム投資計画の策定について
設問/章 アウトラインとキーポイント
第1章 情報システムの投資案件について
(設問アの答え)

1.1 新規ビジネスの概要
 新規ビジネスとして,下記の例から一つを取上げて概要を記述してください。

  • 新たな商品・サービスの開発と市場への投入
  • 他社製品も保守対象に加えたサービス事業の拡大
  • 最終顧客に対する直販ビジネスへの参入

1.2  情報システム投資計画の概要
 次のような観点で概要を書いてください。

  • 目標とする投資回収期間や利益率を満足する
  • 予想収益,初期投資,オペレーションコストなどを含む

第2章 情報システム投資計画の策定の観点
(設問イの答え)

2.1 新規ビジネスを支援する観点
 下記のような観点で論述してください。
  立上げの速さと確実さ,ビジネス支援機能の充足度,ビジネス規模の急速な拡大への対応力などが求められる

2.2 ビジネスプランを満足する観点
 次の観点から一つを選んで論述してください。

  • 立上げの速さと確実さ,ビジネス支援機能の充実度,初期投資やオペレーションコストの制約などを同時に満足するパッケージや独自開発など最適な実現方法の組合せは何か
  • 初期投資を抑え,収益拡大に沿って追加投資をしていくようなプランはないか
  • 情報システム投資を十分行うことで,売上の増大やオペレーションコストの一層の削減が図れ,より良いビジネスプランとすることができないか
第3章 情報システム投資計画の策定結果の評価(設問ウの答え) 第2章で書いた情報システム投資計画の策定結果について要約して,評価してください。
問2 企業の枠を超えた業務プロセスの統合
設問/章 アウトラインとキーポイント
第1章 企業の枠を超えた業務プロセスの統合について
(設問アの答え)

1.1 統合を進めることに至った背景と統合のねらい
 次のようなことを書いてください。

  • 競争力を高めるために,多くの企業が業務プロセスを簡素でスピーディなものにする努力をしている
  • 昨今の激しい経営環境は,より一層の競争力強化を企業に迫っている

1.2 対象業務プロセスの概要
 2.1で論述する統合案の対象業務プロセスを2.1と矛盾しないように書いてください。

第2章 業務プロセスの統合案と,立案の工夫点
(設問イの答え)

2.1 業務プロセスの統合案
 下記のような例で統合案を書いてください。ただし,問題文で別の統合案として他に2点挙げられていますので,3点の中から1点選んで書いてください。

  • サプライヤやカスタマとの間で生産・在庫・販売に関する情報を互いに開示し, 自社と取引先との調達・生産・販売の業務プロセスを統合し, 強固なアライアンス関係の確立とリードタイムの短縮やコストの削減を図る

2.2 立案に際して重要と考え工夫した点
 下記のような点にふれてください。ただし,全点に触れるのではなく,1〜3点の範囲で論述してください。

  • 対象業務の現状と将来の課題分析に基づく業務プロセス統合の可能性検討
  • 業務プロセス統合の目的と効果の明確化
  • 業務プロセス統合に伴う取引先や社内組織への影響把握と対応策検討
  • 業務プロセス統合に向けた取引先などとの調整
第3章 業務プロセスの統合についての評価
(設問ウの答え)
第2章で書いた業務プロセスの統合について要約して,評価してください。
問3 ビジネスの変革のためのITの活用について
設問/章 アウトラインとキーポイント
第1章 ビジネスの変革のためのITの活用について
(設問アの答え)

1.1 背景となった現行ビジネスの状況
 2.1で論述する内容と矛盾しないように,現行ビジネスを紹介してください。

1.2 システムの全体構想の概要
 次の点に関して論述してください。

  • システムの全体構想では,業務プロセスや業務アプリケーションおよび情報システム基盤の構想立案を行う
第2章 システムの全体構想において
(設問イの答え)

2.1 ビジネスを変革するためのITの活用の貢献内容
 次の中から1点を選んで論述してください。

  • インターネットを活用した,ダイレクト販売による低価格での商品提供の実現と新しい顧客層に向けた販売チャネルの拡大
  • CRMアプリケーションを活用した,販売とサービスのプロセス統合による顧客サービスの向上と優良顧客の囲い込み
  • ブロードバンドネットワークを活用した,サプライヤとの共同開発による新製品の市場投入期間の短縮

2.2 ITの有効活用で重要と考え工夫した点
 下記の点で論述してください。

  • 現行ビジネスの分析,先進事例の調査,実現したいビジネスについての業務要件とシステム機能要件を整理した上で,システムの全体構想を描くことが重要

 下記の考慮点も1〜2点含めてください。

  • ITの最新動向と自社の適合性
  • 関連システムとの連携
  • 現行業務からの移行方法または現行業務との連携方法
ビジネスを変革するためのITの活用についての評価 (設問ウの答え) 第2章で書いたことを要約して,評価を書いてください。



平成15年度解答例プロジェクト
2003.9.21〜11.10
リーダ 橋口
午後T解答提供 釘本、櫻井、橋口、山口さん(今回受験者)
午後U解答提供 山口さん(今回受験者)、橋口
午後U解答ポイント 藤井(照)
問題・解答協力 TAC様
TAC窓口 藤井(照)、河野さん(TAC)
編集 中西


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