【IT転職市場の採用動向】頭数を揃える採用から質の高い人材採用へとシフト

今後のIT転職市場はどうなって行くのか?

IT革命、ITブームからリーマンショックへ

ITエンジニアが今後どのような形で存在し続けるのかを見るために、これまでの採用動向を振り返ってみます。IT企業が大量に新卒採用していた時代は、IT革命、ITブームと呼ばれた時期に合致し仕事が山のようにありすぎてIT企業が消化できない状態が続いていました。また、西暦2000年問題が浮上してきたことから、それに対応するための人員も多く採用しました。ITバブルと西暦2000年問題が時期的に被ったこともあり、ITエンジニアとしてはこの時期が最も採用されたと言われています。

西暦2000年問題は、日付の年部分を2桁で処理していることで発生する問題で1990年と2090年が正しく処理できず、2000年になったときに1900年と間違って判断してしまう問題です。この問題に対応するのは年部分を2桁から4桁に変更して日付を8ケタで処理して解消します。そのため、特別なスキルを必要としないために専門性の高い人材でない人までも採用しました。

その後、ITバブルの崩壊を経て2000年前に大量に採用した人員は完全な人余り状態となり、リーマンショックにより企業はIT投資を大幅に控えるようになりました。本当に会社にとって必要なIT投資に絞り込むようになったのです。そのため、案件数に対する人員が余剰となり、採用活動は一気に衰退していきました。一時は花形とまで言われたITエンジニアですが、その実情はあまりにも景況感に左右されやすいことがここにきて判明しつつあります。

あんなにたくさんいたSEはどこへ消えてしまったのか?

SEとして採用した転職者数ですが、2008年には前年比+18%だったのが2009年には+2%強、2010年には-18%となってしまっています。いったいSEはどこへ消えてしまったのでしょうか?実はさらなる転職によってIT・WEB業界を去ったSEが非常に多いのです。またリストラによって余剰人員整理が行われた、ということもあります。

残っているSEの仕事も保守業務が大部分を占めています。近年日本の企業ITで大部分を占めているのが新規のシステム開発ではなく既存のシステムを修正・運用するという保守業務なのです。

欧米企業では新規開発と保守業務の割合は半々という数字が出ていることからも日本はあまり新規のシステム開発に現状として力をそれほど注いでいないのです。実際、システムは開発に1年、保守に10年と言われます。10年の間には商品の変更などにともなう修正、生涯の復旧など保守作業は多岐にわたります。企業に勤める以上、保守は避けて通れない道ですし安定した収入の確保につながるものですから、欠かすことができないものです。しかしながらこの状況が、「新しい経験を重ねてスキルアップしたい」と願う中堅ITエンジニアの不満を生み、さらに転職者が増える結果となっています。

開発の部分では、日本郵政グループのシステム刷新やマイナンバー制度のシステム構築など大規模な社会改革によるシステム開発やシステム改修が2015年をピークとして活発に行われている部分があります。こうした場面では人材不足が起こっているようです。但し来年、2017年には人材が再び余るとも言われています。自分がITエンジニアとしてどんな風に活躍を続けたいのかを念頭においてどんな状況かでも活躍できるスキルを身に付けるようにしておきたいですね。

ソーシャルエンジニア企業の転職採用枠の縮小

優秀な人材は積極的に採用していきたいというIT業界全体の流れに対しソーシャルゲーム企業では採用活動が縮小方法に向かっています。

2011年ごろから、ものすごい勢いで普及しだしたソーシャルゲーム業界は他業界に比べて新卒の初任給も高く、かなり活発な採用状況が続いていました。

例えばDeNAの初年度年収は500万(基本給+賞与)、GREEは月給35万円~、Cygamesは年棒345万+各種インセンティブ(2013年実績50万円程度)と新卒としては世間の相場より高い給与が提示されていました。

しかし2013年頃にコンプガチャ規制が行われるようになりソーシャルゲーム業界では成長の鈍化が起こり、採用意欲の減退が見られるようになりました。今までゲーム内に登場するアイテムを販売することで大きな利益を得ていたソーシャルゲーム業界に大打撃が起こったのです。

アイテムを競売サイトで販売し現金化するRMT(リアル・マネー・トレード)の問題、未成年者に対する多額な課金、健康面での社会的問題などが起こり、後手後手に回ってしまったことからコンプガチャ規制となってしまったのです。

業界が急速に成長して、人員を多く増やすと、そののちには必ず人員余剰が待っています。GREEでは2013年10月にリストラ政策をうち、社員1762人のうち205人が希望退職となりました。

ゲーム業界で活躍しようと思うのであれば、思考力・創造性・情報発信能力などかなり高いスキルと感性が求められます。DeNAの新卒採用サイトには、こう書かれています。「Message From Founder」(DeNAはあなたにとって良い職場ではないかもしれません)と。

これは、同社が重視するポイントが「思考の独立性」と「逃げずにやり遂げる力」としている点からもうかがえるものです。抜きんでて上記のポイントが高い人を採用したい。それに合わない人にとっては居心地の悪い会社かもしれない、ということです。

他人に追従し、自分で考えるのが苦手な人にとってはDeNAは居心地の悪い職場なのです。誰かに育てて貰おう、先輩に教えてもらおうという態度ではなく、場の雰囲気や権力に影響されることなく、オリジナリティのある思考をできるか。そしてその考えを発信することができるのか。この点が重視されます。

採用が厳しくなってきている業界だからこそ自分の持てるスキルを磨いてチャレンジしたいですね。

頭数を揃える時代は完全に終了。IT転職は人数ではなく質の高さを求める時代へ

IT企業が行う中途採用募集では質の高い人材を厳選するのが大前提です。しかしIT業界は基本的に慢性的な人材不足ですから、もしあなたが「質の高い人材」であるならば、採用意欲は高い業界と言えるので転職はさほど難しく考える必要はないでしょう。というのも、システムは人にしかつくることができないからです。優秀な人材は何人いても余るということはIT業界ではありません。

慢性的な人材不足というのは、この点にあります。優秀な人材は何人いてもたりない、だから要員数は足りているのに人材不足と言われるのです。ITバブル期の頭数を揃えるだけの大量採用からの人材余剰、そして優秀な人材の不足という矛盾した状況下にいると言えます。

IT業界では若手~中堅ITエンジニアを中途採用する理由として組織の存続と強化をかなり高い割合で上げています。次に高い割合が年齢等人員構成の最適化と続いています。これは他の業界とは違う比率になっています。人材採用欲は全体的に高いのですから、転職でキャリアアップ・年収アップを目指すのであれば、積極的にアタックしていくようにしましょう。